旧東ドイツ視察

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旧東ドイツ視察

石井和平(社会情報学部)

  2014年6月にベルリン等など旧東ドイツの視察を行いました。今回は、旧東ドイツ地方の地域再生プロジェクト、特に都市近郊の地域を対象地としました。ドイツは再生可能エネルギーに力を入れている国家として知られています。今回は、残念ながら、再生可能エネルギーの生産現場に足を運ぶことはできませんでしたが、エネルギーの消費地としての諸都市の地域開発が、凄まじいほどのペースで行われていることを身近に感じることができました。さて、統合したドイツにおいて、都市再生制度として活用されてきた、ハードを対象にするプログラムは、以下の通りです。

・都市再開発と都市再生

・都市計画的文化財保存

・旧東ドイツの都市再構築

・旧西ドイツの都市再構築

・社会都市(ソフトも含む)

ベルリン近郊でも当該プログラムを利用した再生事例があります。そこで今回は、ベルリンの東に位置する大規模団地の都市再構築の事例などを中心に、地域開発における徹底した「選択と集中政策」の実例を見ることにしました。

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ヘラースドルフ団地(ベルリン)

  旧東ドイツ時代に、コンクリート・パネル工法で建築された質の悪い団地に関しては、減築(建物自体を完全に取り壊す場合だけではなく文字通り建物の上部を取り除くような部分改築も含まれる)を行い、屋根付きバルコニーやエレベータを新たに設置することで、住民にとって住み良い住環境に作り変えることが可能になりました。それはまた、マクロな課題であるところの都市における構造的な人口移動の問題を解決する有効な手段となっています。他方、著名な建築家であるブルーノ・タウトらが立案した戦前のモダン・ジードルンクと呼ばれる機能的な団地群は、改築されることもなく、今でも質の高い住居を提供していました。

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ブリッツジードルンクにある馬蹄形住棟

 また、ドレスデンのよう古くからある街が、第二次大戦の空襲で破壊されてしまった歴史的建造物の再建を進める一方で、同時に、大規模な都市開発を行っている状況を間近に見ることができ、いささか刺激的ではありますが、有意義な視察となりました。

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 ドレスデン中央駅の前にぽっかり空いた開発予定地

 

人口減という問題を解決するために、再生させる地域と消滅させる地域を厳しく峻別し、ダイナミックな地域開発が進行する旧東ドイツの事例は、前提は異なるとはいえ、同じような課題を持つ北海道にとって新たな視点を与えてくれた視察になりました。(初出:ニュースレターNo.72、北海道自治体学会)